『サノバウィッチ』 雑感

f:id:hauteclere:20161226231703j:plain:w500
まずはこのビジュアルよ!! この、背が小っちゃい子はちゃんと画面上においても背が小っちゃいというこの絵!! これはゲーム開始1分くらいの場面なのですが、僕なんかはもうここで心を掴まれてしまいました。背が小っちゃい子が大好きって人間はこういうところをちゃんと配慮してくれるだけで簡単にメロメロになってしまうのです。そしてなんとこの背の小っちゃい和奏ちゃんが、なんとなんと、実は攻略対象であったという……! ゆずソフト、あなたは神か…!

まあそれはともかく、まず素晴らしいのがビジュアル面に対するとにかく細やかな配慮・気の利いた差配であり、表情差分や立ち絵の差分をこれ以上ないというくらいに活用しております。よくゆずソフトのゲームについては「絵が魅力」などと語られることがありますが、それは単純にCGの美しさだけの話ではなく、丁寧に作られた立ち絵演出や豊富なSD絵なども含めてそう言えるでしょう。e-moteや一枚絵を多用した演出はもちろん、いわゆる立ち絵芸と呼ばれるような、立ち絵のキャラクターが画面中を動き回ったり、背景に混じるようにちょこんと描かれたり後ろ向き姿があったり、といったものがまるで無くてただただ普通にキャラクターの立ち絵が表示されるだけなのですがそこにおいて一つ一つの台詞・言葉・心情にあわせて表情を非常に細かく丁寧に調整していくというストロングスタイルな姿勢をただただ貫き通すことによってかつてない境地へ到達していると申し上げることが出来る作品となっております。それでいて立ち絵が動きすぎてて疲れるとか大したことない場面でも表情差分使いすぎててプレイしてて逆にウザいみたいになることも全くないという絶妙な按配がキープされております。最初に「背の小っちゃい子が小っちゃい!!いえい!!」と書きましたが絵に関してはそういった大変に細かい部分にまで神経が行き届いており、それが全編に渡って続いているわけでして、これがまずもって大きな魅力であり武器であるのでした。


f:id:hauteclere:20161226231924j:plain:w500
そう、たとえばこの背の低さがわかるような画像とか!もうテキストウインドウで隠れちゃいそうじゃないか!! こういった小さい女の子の小ささがよく分かる画像がゲーム開始数十秒で登場してくるわけですよ、これほど素晴らしい掴みは今だかつて見たことがないと言っても過言ではない。しかもこの和奏ちゃんね、まずゲーム開始直後にこういう姿を見せられてうわ~この子最高~大好き~超気に入った~一番気に入ったし最後に攻略しようかなぁ~いや最初かなぁ~~とかごく普通の小っちゃい子好きなら普通にそうなるじゃないですか。しかしですね、OPムービーはじまったらそこにこの和奏ちゃんがいねえんですよ!ここであれ?もしやこれは……となってパッケージ確認すると、そこにも和奏ちゃんがいない。つまり、これは、和奏ちゃん、攻略できないサブキャラってことじゃないか!!! とごく普通の小っちゃい子好きは普通にそう理解し泣き崩れてはぁ~まじかよ~がっかりだよ残念だよ紬とかめぐるとか他に小っちゃめな子がいるのがまだ救いだけど~ってうな垂れるわけですよ。ゲームプレイしながらずっと心の何処かで和奏ちゃんのことが引っかかっているわけですよ。そしたらなんと!彼女が実は隠れ攻略キャラだったと!!この喜びを何と言ったらいいのか、明らかにサブキャラ扱いされてたから一度は完全に諦めてたのが実は……となったこの喜びよ!! ええもう『サノバウィッチ』について私が申し上げたい一番のことはそれです。和奏ちゃん最高、超可愛い、そしてなんと、攻略……できる!!攻略…できた!!

和奏ちゃんはたとえばエロシーンとか初Hとかの普通びびっちゃうようなシチュエーションで 「女は度胸!」「こうと決めたら、一気に突き進む!」 と叫んだりと結構男らしい勇ましさがあります。キスの時は 「バッチコーイ!」 って掛け声でしたし。しかしですね、その度胸は、その勇ましさは、元々彼女が生まれ付いてもっていたものではなく、後天的に――”そうなりたい”と思い身につけたものでもあるわけです。子供時代のことが語られますが、その時は周りに合わせて柊史に近づくことができなかった。その頃は女は度胸でこうと決めたら一気に突き進む子ではなかった。しかしそこに後悔があったからこそ、 「今度は逃げずに、大切なことは自分の口から言うんだ」 という覚悟を決めていたからこそ、今の和奏ちゃんみたいな子になったわけでもあるわけです。あの頃のような気持ちにまたなるのは嫌だ、今度はきっちりと自分の意思を貫きたい、もう何物からも逃げない――そういった勇ましさを元々持っていたからではなく、自分がそうなりたいとして自分自身で自分自身を決めている、自分自身で自分に言い聞かせている、そうであるからこその彼女の強さと、そして例えば「自分の口で言う」と自分で決めているからこそ一度はフッちゃうという、自分自身に縛られて意味わかんないことになってるあたりとそれに引け目をまったく感じていない蛮勇さ。
その辺がですね、和奏ちゃんは最高に可愛いんですよ。つまりこの子は自分はこうでありたい・自分がこうなりたいという人間になろうとしている。そうして出来上がった和奏ちゃんはそれはそれはとても可愛いし、そして喩えるなら彼女のその姿勢には背が小っちゃい子の懸命の背伸びみたいな愛おしさがは沢っ山あるのです。


f:id:hauteclere:20161226232020j:plain:w500
※宇宙一可愛い人間の肖像


ちなみに他のシナリオもちゃんと普通に良いです。寧々さんなんかは影で隠れてオナニーしているように表面的には裏表がある(あの優等生が、影であんなにエロッエロに…!あと魔女だし)みたいだけど性格的には全く裏表がなく、良く言えば素直、悪く言えば愚直であって、だからしょっちゅう素直に/愚直に自爆るし、裏表がないからこそ人当たりが良いのに超クールでもある、その二つが両立できている。だからこそ、裏表がなくて素直&愚直だからこそあんな願い事でああいう風に縛られてしまうわけでもあるのですが。紬は付き合う前のイチャイチャっぷりが異常係数叩き出してましたね。てゆうか付き合う前なのになにこのイチャイチャっぷり!! めぐるはキャラは良いです。先輩は普通。この二つの話は個人的にはちょっとあんまり合わなかったのですが(和奏ちゃんシナリオと同じシナリオライターなのに…)、全体的には良く出来た質の高いゲームだと思います。なんといっても和奏ちゃんがいるし……和奏ちゃんがいるし……!