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2010年以降のエロゲの名作的なもの(おおよそ個人的)

http://anond.hatelabo.jp/20161122094928
と、このはてブコメより。2010年以降の名作エロゲはこのリストの中にも少ないし、言及されてるようにインターネット上でも感想が(以前より)がくんと減っているので個人的に名作と思えるものと、世間的に名作と言われてて確かにこれは名作と言われるなぁと思ったものを書いていってみたいと思います。

ちなみにエロゲー批評空間で85点以上、恐らく世間一般的に名作と呼んでも異論が少なそうなタイトルとしては

・94点:WHITE ALBUM2 closing chapter(2011)(※ちなみにYU-NOと並んで歴代1位タイ)
・90点:素晴らしき日々(2010)、サクラノ詩(2015)(※Fate戦国ランスクロスチャンネルと並んで歴代6位タイ)
・88点:ChuShinGura46+1(2013)(Phantomや君が望む永遠パルフェと同じ点数)
・86点:穢翼のユースティア(2011)、虚ノ少女(2013)、もんむす・くえすと終章(2013)(SWAN SONGや俺つばと同じ点数)
・85点:グリザイアの果実(2011)、神採りアルケミーマイスター(2011)、ランス・クエスト・マグナム(2012)、いろとりどりのヒカリ(2013)、月に寄りそう乙女の作法(2012)、乙女理論とその周辺(2013)、ランス9(2014)、あの晴れわたる空より高く(2014)、凍京NECRO(2016)(AIR月姫この青空に約束を、キラ☆キラ、G線上の魔王などと同じ点数)

こんな感じ。『もんむす・くえすと』と『あの晴れわたる空より高く』だけは未プレイなのでよく分かりませんが、他は誰がプレイしても名作になるかはともかくとしてある程度以上はまず間違いなく楽しめるのではないかと思います。ちなみにこのリストにあるのに本文中で言及してないタイトルは、個人的にはあまり趣味ではなかったか悪くはないけど名作というほどではなかったという感じだったものです。主観の感想なので仕方ないね。その辺はエロゲー批評空間とかよそ様のブログとか見てください(丸投げ)

サクラノ詩(2015、枕)

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批評空間での中央値90点。もう10年くらいエロゲやってないなぁ……という人のほうがある意味よくご存知かもしれません、元々は2004年発売予定、2008年には体験版が出たけど音沙汰がなくなり幻の作品のようになったりと紆余曲折を経て2015年に発売。ということは、オクル…はるは…おまて…同級……などがリリースされる可能性がもしかしたらどこかにあるのかも!太陽の…もそのうち出る可能性は微粒子レベルであるはず!月姫リメイクはなんか普通に今でも作ってるんだけど普通に2022年とかになりそうな気がする!などと色々諦めてるユーザーに色んな波紋をもたらしたりもたらさなかったりとかなんとか。
平たく言うと非常に濃厚なストーリーゲーで、哲学的であり、難解すぎない程度に難解で、登場人物たち若者の魂がほとばしってる作品。もっと平たく言うと「とにかく凄い」作品。美術関連とか中原中也とか宮沢賢治とかウィトゲンシュタインとか色んな要素がモチーフやテーマの一部にあるのですが、それらを知らなくても問題はないとある意味では言えるのではないかと思います。全てを理解することは出来ないかもしれないけど、全てを理解できなくてもそれでも「良し」と思える、そういう難しさと明瞭さが同居している。簡潔に申し上げますと傑作であり、超大作であり、これこそまさに魂の作品であると言えましょう。

ランス03、ランス9、ランスクエスト&マグナム(2015、2014、2011&12、アリスソフト

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ランス03:中央値84点。ランス9:中央値85点。
エロゲをやらない人でも名前くらいは聞いたことあるのではないでしょうか、エロゲ界のFF・ドラクエとも言える存在であるランスシリーズ。基本的にはシリーズ全部ハズレなしです。低価格でリリースされたあっという間に終わるランス5Dですらそれなりには楽しめます。で、最近のランスシリーズなんですが……はっきり言ってゲーム部分は「戦国ランス」「ランス6」といった全盛期の頃の方が面白いかもしれません。ただストーリー部分が、元々良かったですけどシリーズ終幕が近づいているだけあってさらに良くなっていて、しかも「ランス03」ではボイスまで搭載されたことにより、ストーリー・キャラクターの部分がさらに前面に押し出されていると言ってもよいかもしれないくらい素晴らしいものになっています(これはタイトル通りリメイク作品ですけど)。まあランス・クエストはストーリーは薄めだしゲームシステムもランス6GALZOOアイランドの進化版(進化しているとは言っていない)みたいな感じであり名作には届かないかもしれないすけど……。いずれにせよ、どの作品も傑作と呼ばれるコンシューマRPGに引けを取らない出来栄えであり、かつエロも素晴らしく、やり込み要素も豊富で、エロゲRPGのまさにお手本といった具合です。
ちなみにシリーズめっちゃいっぱい出てますしFFやドラクエみたいに毎回別の舞台ではなくずっと一続きの物語なんですけど、気になった作品からいきなりはじめても殆ど問題ありません。最新作からはじめても大丈夫。過去作で登場したキャラがばんばん出てきますが、シリーズ全部追ってる人にとっても5年前の前々作にちょっと出番あったキャラが新作で「ひさしぶりー」みたいにいきなり出てきて誰だっけ?てゆうか誰だよお前!みたいになるので問題ない。まあメインの流れやシィル絡みやカスタム四魔女とか知ってた方が断然楽しくなるかもしれないので、気になったら充実しているランスwiki系のサイトを読み漁ったり過去作やったりすると良いと思います。

SMEE諸作品、AsaProject諸作品(~2016)

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10年くらいエロゲやってない人には驚きかもしれませんが、今の萌えゲーの覇者はHOOK系列だと言っても過言ではないというか俺はそう言い切ります。『_summer』とか『HoneyComing』あたりで止まってる人には日本人の睡眠事情はそこまで悪化してたのかと思ってしまうかもしれませんがそうではなくてですね、HOOKの姉妹ブランドであるSMEEやアサプロは本当に面白いしはちゃめちゃに萌えるし最高に笑えるしさらにほっこりするような感動とかもたまにあったりするのです。いや本家HOOKも眠くなるだの何だのは過去の話になりつつあって、たとえば『SuGirlyWish』や『MeltyMoment』などは非常に高品質なイチャラブ萌えゲーとなっています。いやまあたまに眠くなるゲームもあるんすけど……
基本的には、HOOKの路線から萌えとイチャイチャを高めまくって笑いも強めたのがSMEE、笑いの要素をめちゃくちゃ入れまくって特に初期作品なんかはバカゲー呼ばわりされるほどになったのがAsaProjectとなっております。それぞれ『ラブラブル(2011)』『フレラバ(2013)』、『プラマイウォーズ(2015)』『アッチむいて恋(2010)』あたりは個人的には名作と言って差し支えない出来。特に『プラマイウォーズ』は同年に発売されたSMEEの新作以上と言えるくらい萌え力が上がってて、今後のアサプロが非常に楽しみになります。

月に寄りそう乙女の作法、乙女理論とその周辺月に寄りそう乙女の作法2(2012、2013、2014、Navel

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月に寄りそう乙女の作法2:中央値82点。乙女理論:中央値85点。月に寄りそう乙女の作法:85点。
萌えゲーアワードで3年連続くらいでなんとか賞取ったように、今現在エロゲの中で最も人気あるシリーズのひとつ。主人公が女装してメイドさんになって女の子たちときゃっきゃうふふしたり、夢を追いかけて洋服作ったり、自分の生まれや一族とのいざこざ、父権的権能を振るう兄との対決というかそれを飲み込んでいくという現代的ファルス殺し、お優しいルナ様、兄の前では一人称が「妹」の妹、全編を通して(さらに言えばNavelの以前の人気作「俺たちに翼はない」から)通底しているようなテーマ、それらが盛りだくさんであり実にめっちゃ楽しく、かつハラハラドキドキもでき、イチャイチャラブラブ萌え萌えもあり、感動や笑いもする。この作品が現代を代表するエロゲシリーズみたいなポジションにあるのも納得できるほどでしょう。女装主人公モノではあるのですが、あまり女装主人公モノっぽくないというか、過去の女装モノ作品とは一線を画してる――それでいておとぼくとかるい智とかensemble諸作品とか天使の羽を踏まないでとか女の子から責められちゃう各種女装主人公抜きゲからおいしいとこ取りしたような、一種の独特さと完成度の高さを兼ね備えているので、女装主人公モノという理由で敬遠している諸兄方もやってみて諸姉方になる価値は大いにありです。
個人的には「つり乙2」が一番の名作。基本的にはシリーズが進むほどどんどん良くなっていって、てゆうか通底しているテーマとかがどんどん掘り下げられていってて、「2」でその頂点を極めた上にひとつの結論を(ようやくと言っていい)出していて、そのあたりがもう途轍もなく良かったです。俺の人生はこのゲームをやるためにあった!!とかプレイ直後数日はマジで思ったくらい。

蒼の彼方のフォーリズム(2014、sprite)

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批評空間での中央値84点。アニメ化もされたのでご存知の方も多いはず。熱い展開と、適度な爽やかさを保ったイチャイチャ、挫折や努力や成長、それらを足し合わせた、暑苦しくないけど熱い、スマートだけど淡白ではない、そんな青春物語。あらすじだけ見れば青春であるのに実際はあまり青春すぎないというか、青春さ(青春臭さ)を脱臭しすぎない程度に脱臭させてるとことが特に良いと思うんですよね(自分でもよくわからん言い草ですが)。あと作品全体的に丁寧さが素晴らしいし、真白ちゃん最高にかわいいし天使がこの地上に顕現したとしか思えない神々しさだし眼鏡をかけた真白ちゃんなんか眼鏡属性なしな人でも平伏さなくてはならないところとか最高だと思うのですよ。まあ個人的には名作に一歩及ばずというか、ファッキン先生には悪いのですがフライングサーカス部分があまり肌に合わなかったので今ひとつ乗り切れなかったのですが、それでも十分に傑作だと思います。

隠恋ぼ(2014、マーブルCandySoft)

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たとえば2009年に発売された『真剣で私に恋しなさい』には、ロリコンでロリエロゲー好きなハゲのサブキャラが出てくるのですが、そんなキャラでも口に挙げるタイトルはまじこい当時からして8年も昔に発売された『はじるす』だったりするように、意外とロリゲーの名作・傑作というのは枯渇していまして、特に低価格モノや陵辱モノ・同人ゲーではちょくちょくあっても、フルプライス(もしくはミドルプライス)でがっつりロリとイチャイチャラブラブ出来る僕たちの夢を詰め込んだようなゲームは案外少なかったりしておりました。そんな2014年に突如現れたのが、誰が呼んだか2014ロリコン四天王、それは『ちっちゃらぶアパート(Galette)』『しゅきしゅきだいしゅき(iris)』『隠恋ぼ(マーブルCandySoft)』『お兄ちゃん、右手の使用を禁止します!(Galette)』、この4つだーーッ!!!(『相思相愛ロリータ(夜のひつじ)』も含めて2014ロリコン五虎大将と呼ばれることもある)
その中でも個人的に一番のお気に入りはこの『隠恋ぼ』でして、まず宇宙一美しい絵!小さい女の子が小さいまま、けれど女性的魅力とセクシーさも兼ね備え、やわらかさと華奢さを同時に描き、シミひとつない肌の美しさと触れたらすべすべであろう肌の質感の両方もリアルに描いている!!(リアル知らないけど) 特に精液のなんかぶくぶくしてる感じを描かせたら三千世界で一等賞間違いなしの素晴らしさでして、こいつがエロスをより濃密にさせています。昼間の夏の部屋だからこそ現出する独特の陰影とか、あえてエロシーンのBGMをセミの鳴き声や風鈴の音といった環境音のみにしたのも実に素晴らしい。そんな中で描かれるエロシーンは濃密な描写と数々のシチュエーション、いたずらの背徳性と罪悪感と相手も感じているのだからという自分勝手な期待感、そしてお互いを思いやる優しさと愛情と心の交流で出来ている。そして勿論エロシーンだけでなくシナリオもですね、小学生の女の子と付き合うとはどういうことか、世間的に見て秘密の関係であるけど、立場や年齢の違いから生じる心の中での軋轢や葛藤、ゆえに秘めるものなんかも当然あるわけでして、そこをシリアスやドラマチックに脚色するのではなく(ゲーム自体/シナリオ自体が彼女たちのその感情に対し)あくまでも優しく、愛情を持って向き合っていくというね、もう最ッッ高に素晴らしいものでして、小学生の女の子と一人の人間同士として向き合い恋愛するという点で個人的には『いたずラブ』以来最大の衝撃を受けたロリエロゲーでした。
ボリュームとかスケール感とかから一般的な名作というには一歩及ばないかもしれませんが、ロリエロゲーというジャンル枠内なら間違いなく2010年代を代表する名作と言えるでしょう。ただひとつ、ロリに関しては、なんでもいけるタイプの方もいらっしゃると思いますが、それこそロリとぺドの間に絶対境界線があるように、意外と「下の年齢制限」というファクターが大きくてですね、自分のストライクゾーンよりちょっと下の年齢にしか認識できないキャラクターには驚くほどに食指が動かなかったりするのではないかと僕は思うのですよ。てゆうか僕がそうなのですが。滑空はアリだけどあかざわREDはナシ、こけこっこ☆こまはアリだけどみなすきぽぷりはナシ、みたいなの皆さんそれぞれあると思うのですが、それと同じです。これは野球のバッターボックスと似ていまして、ちょっと高めでもキレのよい球なら球審はストライク取るしバッターは振っちゃう、でも逆にちょっと低目だと球審の手は意外と挙がらないしバッターも手が出ない、そういうものだと僕は思いますし、この「ロリコン野球のバッターボックス説」は案外正しいのではないかと個人的には提唱していきたいわけです。……ええとそんなわけで、実は個人的には四天王の中でも『しゅきしゅきだいしゅき』はちょっと球が低すぎて手が出なかったわけでして、要するに何が言いたいかというと、ロリゲーに関してはみなさん興味を持たれたとしてもまずは体験版をやってイケるかどうかを確認したほうがよろしいと思うのです、ということを言いたいわけでございます。

ChuShinGura46+1(2013、インレ)

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批評空間での中央値88点。『恋姫†夢想』とかと同じように、登場人物がほとんどみんな女の子になっている忠臣蔵モノ。そして現代日本人男性の主人公がタイムスリップみたいな感じでその時代に飛ばされる。というか日本人の殆ど誰もが大雑把なあらすじは知っているものの細かいところになると意外と知らない人が多い忠臣蔵を敢えて題材に持ってきているとこがまず面白いですし、そして主人公がまさにその忠臣蔵の細かいところはよく知らないマンなので、仮にプレイヤーが忠臣蔵全然知らなくても問題ないようになっているのもまた良く出来ています。昔のゲームで喩えると『マブラヴ オルタネイティヴ』がある意味近いでしょう。一般人が戦いが行われる地に送り込まれ、戸惑い、うろたえ、それでも剣を取り、戦い、挫折し、努力し、希望を掴み、失意に沈んで、しかしなお立ち上がる。さらにおまけに忠臣蔵の勉強もできます。
個人的にはですね、当然俺みたいな性癖の持ち主はご城代大好き、あのちっちゃいご城代スーパーウルトラ可愛い、ちっちゃいご城代大大大好き~!! なわけですから、二章以降の主人公にファックファック!てめえファック!!とならざるを得ないわけでして、というかこのゲームの構造上、ご城代(安兵衛さんでも主税でもいいけど)大好きになって他のキャラは全く目に入らない状態に陥ってしまったプレイヤー的にはそれ以降の章の主人公に対してはある程度ファックにならざるを得ないと思うわけでして、その辺が最大の欠点と言わざるを得ないわけです。あと4章や5章の評判が世間的にイマイチですが、4章はともかく5章は結構好きです。なんかラストバトルがシンフォギアみたいになってて、魂と魂のぶつかり合いというか何だか知らんがとにかくよし!としか言えなくなるあの感じが超好み。

らぶおぶ恋愛皇帝ofLOVE(2013、HARUKAZE)

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あくまでも俺調べですと、プレイした方のうち1割が60点台あるいはそれ以下を付けて、7割が70~80点くらいを付けて、残る2割か1割が90点台あるいは100点を付ける、そんな感じです。一部の――といってもごく僅かではなく、多少はいる――一人たちが熱狂的なまでに高評価して、愛している、そんな作品。そして自分はこのゲームめちゃくちゃ好きですし愛してますし、実際このゲームをクリアした後は新しいエロゲーやっても輝きを失ってやってて楽しくなくて数ヶ月間なんにもプレイできなかったくらいに、自分の心に強烈な一撃をかましてくれました。平たく言うと、このゲームは直球の全身全霊の真正面からぶつかってくる、要するに”ガチ”でして、そこが一番の魅力です。登場人物のガチとガチがぶつかり合う、本気のやり取り。勿論それは恋愛とか心のやり取りとかそういうのなんですけど、これだけの質量と熱量でそれをぶつけられて、それに当てられたプレイヤーがまともなままでいられようか!いや、いられるわけがない! 真っ直ぐな言葉と真っ直ぐな想いを一直線にぶつけてくる、ガチだから話(たとえば主人公の過去とか)もおどろおどろしく生々しくなる。フィクション的なキャラクターと虚構的な舞台設定なのに、やってることは敢えて寓話ではなくガチンコなんですよね。だからヤバい。だから心や身体にがつんとくる。むしろ設定やキャラが虚構的だからこそこんな話とこんなキャラの心情が受け入れられると言っても良いのかもしれない……ここまでの書き方だとなんかめっちゃ熱いゲームみたいですけどそういうわけではなくてですね、たとえるなら『まじこい』みたいな感じの世界観とかキャラで、ギャグも盛りだくさんで、コミカルさが前面に出てて、いかにもフィクションなはちゃめちゃさで、ある種シニカルなんですけど、そんな中でキャラクターのみんなたちがガチンコだからこそ、それをプレイしているこっちがダイレクトに喰らいかねないという。そして喰らった人は俺みたいに数ヶ月単位で立ち上がれなくなる。そんなガチにヤベーゲームです。

虚ノ少女(2013、innocent grey

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批評空間での中央値86点。推理小説的な作品、といってもがっちがちの推理小説というわけではなく、可愛い女の子が出てきたりめっちゃ可愛い妹が出てきたり、その女の子たちときゃっきゃうふふチックなことする場面もそれなりにある、けれど基本は落ち着いたトーンの推理小説、つまり「推理小説的なるものをエロゲでやる場合の完全なる成功例」みたいな感じです。戦後十年後くらいの東京を主に舞台にしているからこその独特の雰囲気、登場人物たちの心理、背景美術、それに見合ったテキスト、これらが唯一無二のエロゲを作り出している。innocent grey作品全体に対してよく言われてますが、京極堂っぽい感じはありますね(それでも本作は過去作に比べて最も京極堂っぽくないらしいですが)。2008年に出た「殻ノ少女」の続編であるのですが、「マブラヴ」と「オルタ」みたいな感じで、一応前作をやってなくてもプレイできますし、冬子関係以外は分わからないことはあっても、分からなくて置いてかれる・分からなくてつまらない、みたいになることはないと思います。

大図書館の羊飼い(2013、オーガスト

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アニメ化もされたので知っている方も多いでしょう。批評空間では80点と、その年のトップ20~10には入るけどトップ5には届かない、一般的に言うと名作ではなく良作くらいの評価なのですが、僕としてはこのゲームが今までやってきた全てのエロゲの中で一番好きで一番の名作です。パッと見は丁寧に作られた良くできた萌えゲーという感じなのですが、よく見るとその丁寧さが作ってる奴ら多分気が狂ってるんじゃねえかと思うレベルの丁寧さである。物事にはだいたい因果関係や理由・原因・道理と呼ばれるものがあって、それは人の言動もそうで、ある人がそう言ったのはこう思ったからであって、こう思ったのはこれこれそういう理由があって、これこれそういう理由があるとこう思うのはその人の価値基準とか執着を感じているところに起因があって……みたいな感じに人の言動というのはそれがどんなその人の本質的なものでもたまたま今日寒かったからみたいな偶然的なものやくだらないものでも、だいたい全て何かしらの因果関係や道理や理由や原因があるわけですが、そういったことをこのゲームは殆ど全てのシーンの殆ど全てのテキストで全部完全に洗って反映させているのです。キャラクターの言動、起こる出来事、どんなに細かいちょっとしたテキストにもそれら殆ど全て「こう書かれてる(こう言ってる・こうしている)」因果関係や理由・原因・道理が恐らくしっかりと意識的に存在している。つまり、オーガストのそういったところへの意識はそれこそ『夜明け前より瑠璃色な』の頃から実は健在ですし、別にそういったことへの意識は他のエロゲも当然大なり小なり持っているのですけど、しかし『大図書館』はそれに対する網羅性と掘り下げの深さが圧倒的である、つまり完成度がとてつもなく高いのです。ここに来て遂にオーガストが完成したと言ってもいい。その上筧くんとか佳奈すけとか一部キャラクターは彼ら自身が作中でそういったことにかなり意識的でもありますし。何周もプレイして、特に佳奈すけシナリオなんかほぼ全てのテキストを検証までしたので多分間違いないでしょう。それらが作中で表明されたり匂わされることもあるけれど、そうではない場合でも、それでもやはり言動に理由があり(あるいは理由をこちらが”見出せ”て)、それを爪の先毛の先まで全てのテキストに網羅しており、つまりこのゲームは全てに神経が通っているのでありまして、要するにですね、もうこのゲームは実在しているんですよ!汐美学園は実在している!!佳奈すけは実在している!!!全てが理で作られているこのゲームの異常なまでの丁寧さは、そこにあるフィクションであるはずのものが”理が通ってるからこそ”僕らの頭の中で現実のものと何ら変わらないものとして受け止められ、認識されるわけで、つまり佳奈すけは実在してるんだよ!!文句あっか!!ってなるんですよ。ならざるを得ないんですよ。いや実際僕はクリアしたあとこの先佳奈すけに会った時どうしようかな~とかアッチの世界いくために自殺しようかな~とか、もう数ヶ月くらいかなり本気でそういう精神状態になってましたからねえ。三年経った今でも結構そういう気持ちあるんですけど。気が狂ったとしか言いようがない。まあつまり言いたいのは、そこまでの丁寧さで紡がれてるからこそのキャラクターや世界の存在感、ゲームを通してそんな彼女たちと触れ合えたりその世界に居れる幸福感、そういう、ある意味では全てのフィクション・全てのエロゲに言えるような根本的な楽しさを突き詰めてるのがこのゲームだと言いたい訳です。そしてこんだけ狂ったようなことのたまっておきながらまだ、これでも大図書館の魅力の百分の一くらいしか言えてないわけですから、本当このゲームは恐ろしいし素晴らしい。普通に女の子かわいいイッチャイチャ~面でもハイレベルですし、物語も楽しく面白くまたサブキャラルートなども豊富でサービス精神に溢れていますし、立ち絵と背景を上手いこと組み合わせて行ってる演出はかなり作るのに手間かかってそうだけどそれに見合ってるくらい見事ですし、キャラクターの内面への掘り下げも深くて特に主人公である筧くんへのそれはある意味『CLANNAD』や『AIR』や『CROSS†CHANNEL』のような、あの頃のエロゲみたいな問題意識を持っていながら描き方は現代エロゲ的というところも大変に素晴らしいし個人的には超超好み。ただまあ、一言でいうのでしたら、前述したような理由から、単純にプレイすることがその世界やキャラクター達との触れ合いであり戯れであるというのをこれ以上なく体現しており、つまり単純にプレイしているだけで面白くて楽しくて嬉しくて多幸感に溢れる、これが一番素晴らしいのです。

いろとりどりのセカイ、いろとりどりのヒカリ(2011、2012、Favorite)

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セカイ:中央値80点、ヒカリ:中央値85点。
まず『いろとりどりのセカイ』があって、それはそれで完結しているのですが、やり残し感とか後味悪い感とか伏線回収しきってない感とかめっちゃありまして、それを全部ぶっこ抜いていったのがファンディスクというよりも続編といっていい『いろとりどりのヒカリ』です。ボリュームも多少『セカイ』の方が長い程度で、『ヒカリ』も並みのエロゲ以上のボリュームあります。まず『セカイ』の話からしますと、世間一般的に高く評価されてるのは最終ルートにあたる真紅ルートでして、これは本当に素晴らしいシナリオですしもし全ルート真紅ルート級でしたら歴代でも上位に入る大傑作になっていたんじゃないかと思われます。ええとつまり、真紅ルート以外は賛否両論というか、いや否は少ないんですけどぶっちゃけ「普通」みたいな感想が結構ありまして(もちろん好きな方もいらっしゃるわけですが)、まあ「9話までがつまらない『まどか☆マギカ』みたいなもの」という失礼すぎるけど正鵠射ちゃってる喩えなんかも見かけたことありまして、要するにそういうことです、はい。ラストルートは本当にすごい。これはネタバレなしでやった方が一億倍面白いので、是非ネタバレなしで行きましょう。そして「ヒカリ」ですが、個人的には正直複雑なんすよね。綺麗に話がまとまって前作に空いてた穴を全部埋めた形になってるけど、たとえば穴を必然で埋めちゃった所為で前作の彼らの行為から価値が失われてるところあるやんけ、前作におけるあの「選択」がこれじゃただの「犠牲」になっちゃうじゃないか、てゆうか星メモEHもそうだけどなんでFavoriteはファンディスクでわざわざ涼元悠一曰くの世界観の穴みたいなものを自分からせっせと埋めていっちゃうねん、とかそんな感じで。でもそういう思いもあのラストを見れば全て吹っ飛ぶというか、あのラストを見れば絶対に「「ヒカリ」は必要だ」となるわけでして、そんなこんなで自分としてはどう評価していいのか分からない。いずれにせよ、名作かと聞かれれば名作であると答えられる、そういう作品であることは確かです。

この大空に、翼をひろげて(2012、PULLTOP

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批評空間での中央値83点。青春さわやか部活動で友情したり恋愛したりでつまり青春さわやか物語。的なことを言われることが多いですが、よく見ればこれ全然さわやかじゃねえから!!人間が人間人間しているから生じる人間的なドロドロさが詰め込まれてる!!てゆうか現実の人間はここまで徹底的に人間的になれないからこそ、見た目の造形ではなく精神部分が不気味の谷現象みたいなもので、この逸脱するほどの人間人間さがやっべーよ怖さと魅力と恐ろしさが共存してるよー、などと私などはなったわけです。まあ平たく申し上げると「パルフェ」の里伽子シナリオや「この青空に約束を」の海己シナリオのようなものだと考えて頂いて相違ございません。あんまそう言ってる人を見かけませんけど、個人的にはこのゲームは(てゆうかこのシナリオライターは)丸戸さんとかなり似てると思うんすよね。プレイ序盤は文字通りさわやかで楽しくすがすがしいゲームなのですが、どんどん突き詰めた人間的なものが出てきて色々と剣呑ならなくなっていく。……というところが魅力であり欠点であると自分としては思うのですが、まあそんな風に捉えずにシンプルに青春さわやか系物語として見ても楽しいものであり、また演出や構成などひとつひとつがとにかくハイレベルで丁寧で、さすがは名作と呼ばれるゲームだなという感じであります。

はるまで、くるる。(2012、すみっこソフト)

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批評空間では81点と名作一歩手前という感じですが、個人的には点数付けるなら99点の超傑作。昔の作品でいうと『CROSS†CHANNEL』を彷彿とさせて、実際にはどうだったのか分からないけどその影響を感じさせます――てゆうか『C†C』の影響色濃い作品やらパクリっぽいのやら換骨奪胎的なるものやらは世にたくさん出てきましたが、この作品はその中では完全に格が違うというか『C†C』と同格あるいは場合によってはC†Cを喰っちまったといっても過言ではないかもしれません。C†Cが辿り着けなかった(あるいは辿り着く気がなかった)場所に辿り着いている。ということで、『CROSS†CHANNEL』好きな人には間違いなくオススメ。ただ、ゲーム開始序盤は人によっては注意というか、いきなり完全なハーレムルートHしまくり状態からお話がはじまるので、そこでわけわかんないとなったり酷い場合は投げだしてしまう方が結構いらっしゃいます。エロゲー批評空間の「面白くなった時間」も「(プレイ開始から)4時間後」ってこれ完全にきゃっきゃうふふワールド終わってからってことだし!! まあSFだシナリオが良いだのと評判聞いてはじめるとその最初のパートで面食らってしまうと思うのですが、個人的にはそここそが肝要というか、世界観や謎とかはあまり語られないし物語もろくに進んでないですけど、キャラクターの心的面のこのゲームにおける本質的な部分はこれでもかというくらい語られて掘り下げられて試されているので、Hしまくりでなんやねん抜きゲーやないけこれ!ってなるかもしれませんが序盤をがっつり読み込んで(全部クリアした後でもいいので)いった方が絶対このゲーム面白くなると思うのです。

屋上の百合霊さん(2012、Liar-Soft)

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百合ゲー。個人的には百合部分も勿論良いのですが、まるで女の子になれるかのようなこのプレイ感覚が大好きで結奈ねえその他になる気分を味わうために今でも定期的に起動しています。百合の幽霊が主人公の女の子に取り憑いて学校中の百合カップルの芽をサポートしていくお話なんですけど、これは同時にプレイヤーである僕たちが主人公の女の子に取り憑いて彼女の・女子高生の生活や気持ちを味わうことができる気分になれる、そんなゲームでもあります。実際BGMや各種画面やアイコンのデザインなんかも非常に女子高生くらいの女の子ナイズされていて隙がありません。もちろん百合部分も良くてですね、たとえば男女だと一緒にいて楽しくて心地良いと、この気持ちは恋愛感情なのかな?好きなのかな?と相手のこと意識してそのまま自然と恋人同士になっていくとかよくある話ですが、同性で元々同性愛的なものに自覚がなければ、そういう気持ちが友情なのか恋愛なのか自然と峻別されることは難しく、なんとなくだったりいつも一緒にいるからだったりで流されるように恋人同士になっていくことはなかなかありません。つまり、自分の気持ちは何なのか(恋なのか)について、一度真剣に向き合う必要があるということで、そういう未分化な感情そのものに真剣に向き合っていくところが特に良いわけです。たとえば代表的な百合エロゲ作品である『その花シリーズ』なんかとは全然異なる百合アプローチであってああいうの思い描いてると期待外れかもしれませんが(その花はその花で良い作品だけど)、この真剣さと、そして女の子体験感とそれゆえの生活感なんかは唯一無二のものと言えるでしょう。

はつゆきさくら(2012、SAGA PLANETS

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簡単に言えば現代の麻枝准。いやだーまえも現代人ですけど今はもうエロゲはお作りになられてないですからね……。たとえば、もう10年くらいエロゲやってない人が「Keyみたいなゲームってどれ?だーまえっぽいのある?」とお探しになられたら、これか『星空のメモリア』あたりを渡しておけば間違いなく鉄板でしょう(てゆうか星メモはむしろ久弥直樹的ですが)。昔の鍵っ子なら暗唱できそうな名文句、「滅びに向かうからこそ、すべてはかけがえのない瞬間だってことを」「水たまりを駆けぬけ、その跳ねた泥がズボンのすそに付くことだって、それは幸せの小さなかけらだった」というのがかつて『ONE』にありましたが、要するにそれなわけです。新島夕の作品は基本的には本質的には全部そういうことだと言ってもいいくらいだし、そしてそういうことを最も苛烈に表現してて俺はプレイ中気持ち悪くなったし吐きそうになりまくったしノートPC窓からぶん投げようかと何度も思うくらいになったのがこの『はつゆきさくら』なわけです。

素晴らしき日々(2010、枕)

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批評空間の中央値90点。説明……しようがない。感想……書き様がない。語りえぬものに沈黙しているわけではないのですが、プレイ直後ならともかく時間を置いたらなんだか語れるわけがなくなってしまいました。これもまた『サクラノ詩』と同じく、本当に端的に一言で申し上げれば「とにかく凄い」作品。そしてまた『サクラノ詩』と同じく、ウィトゲンシュタインやそもそも大元となった『終ノ空』など色んな元ネタやモチーフと呼ばれるものありますが、その辺知らなかったらつまらないとかそういうわけではないので大丈夫です。恐らく作品の全てを理解することは難しくなるとは思うのですが、しかしこれもまた『サクラノ詩』と同じく、全てを理解できなくてもそれでも「良し」と思える、そういう難しさと明瞭さが同居している。